『図書館の大魔術師(3)』ネタバレ感想。
図書館の大魔術師
原作:泉光
本当のタイトルは『圕の大魔術師』で図書館の部分は一文字です。調べてみたら「圕」は大正末期は作字されたものみたいです。どうしてタイトルが「図書館」ではなく「圕」なんでしょうかね?
この作品一巻が出た時から読んでて、その時から「これしゅごい......しゅごいのぉ」なんて思ったんですけど、特に3巻のすごさが、もうすんごかったので語ります。
あらすじ
司書試験第一次試験、通称「悪夢の筆記試験」を無事に突破したシオは続く、二次および三次試験、「面接」と「実技」に挑む。シオを待ち受ける試験とは?
ここからネタバレ注意!
本作の見所
その1 キャラクターの魅力
主人公が目指す司書という職業の9割が女性ということで、女性キャラクターがとても多いです。
3巻でも多くの女性キャラが登場します。どのキャラクターも司書という試験を受けるにあたり、どエラい努力してきています。そのためどの子もめちゃくちゃ優秀で、すごいのがパッとみた感じ「この子活躍できてなくない?」みたいな子がいない。主人公以外にもちゃんと見せ場があるんですよ。何人か紹介しますね。
①ナチカ=クアパン
シオが実技試験でチームを組むキャラの一人。「念の為」が口癖で、朝の身だしなみのチェックはもちろんのこと試験においても仲間の仕事が信頼できず、自分で再度確認しちゃうような子です。
でも、病弱っぽいお父さんのために司書を目指す真面目ないいこです。
②サラ=セイ=ソン
初登場時、「慈しみ」って呟きながら土下座をかましていました。他にも、主人公がおねしょがなかなか治らなかったことを、ほぼ初対面で看破し「よぉぉーし!」と街の真ん中で雄叫びを上げて喜んだりしてます。観察能力とコメディに優れているので今後の活躍が楽しみです。
③オウガ
へそだしルックのエッチな民族衣装を身にまとったケモミミっ子です。この子も実技試験で主人公と一緒のチームになります。あっけらかんとした態度と見た目とは裏腹に、とっても対人スキルが高いです。ナチカから「痴女(フォネ)」と呼ばれても、「痴女(フォネ)と蜂蜜(ホネ)は発音が同じで、私蜂蜜大好きだからフォネでも全然いいよ」なんて言って気にしません。天使か。僕はこの子が一番好きです。
その2 世界観の作り込みしゅごい
実技試験において「本の製本時期とタイトルを答えよ」という問題が出されるのですが、このへんの設定の細かさが凄まじいです。
正直この辺の詳しい説明はめんどくさいんで省くんですけど、作中で主人公たちが話し合いながら本の正体を探っていくんですけど、例えばこんな感じの会話をします。
主人公「分の先頭を大文字にするのと、頁の真ん中で文を折り返すのはラコタ語の特徴だからラコタ語に絞って調べるべき」
ナチカ「ラコタ族は大陸文明の牽引車。本の開発から印刷機の開発、全ての本がラコタの影響を受けている。だから一概にそうとは言い切れない」
作中にいくつか民族が紹介されるんですけど、この辺の詳しい歴史についてちゃんと考えておかないとこんな風に考えられないですよね。
こういう細かい歴史までちゃんと作り込んであるので、この世界への信頼というか「この世界は存在する!」っていうのがちゃんと感じられるんです。こういうところは作者の情熱がすごく伝わってきて、読んでてとっても興奮します。
その3 画力ぱない
画力はもちろんぱないんだけど、細かい描き込みが凄いですこのマンガ。
司書の試験会場であるアフツァックって街はとっても都会で、建物も凄い豪華なんですけど、このマンガその辺の建物もちゃんと描いてます。正面からはもちろん、主人公が歩いてる横にドーンみたいな感じで、ちゃんと。
あと作中に「ネザファパレハの円盤」っていうわけわかんないくらい細かいなんかが描かれた石版が出てきて、凄いんですけど。これが展示されてる博物館の床の装飾までなんかカッコいいのが施されてるんですよ。そんなとこまで!? っていう。
それから司書の着てる衣装です。これまた偉い人とかはクッソめんどくさそうな装飾にプラス宝石なんてジャラジャラ付けてるんですよ。今の主人公の服はだいぶシンプルなんですけど、これから司書になったらこのめんどくさい服着る事になるんですよね。それどころか、主要キャラクター全員このめんどくさい服着ますよね。これ全部描き込む気? え、正気? 凄すぎかよ。
まとめ
どれをとっても高クオリティで作者のこの作品に賭ける情熱がビンビンに伝わってくる素晴らしいマンガです。特にこの巻の面白さは前2巻と比べても頭一つ抜けています。これからもっともっと注目される事間違い無いので、気になった方はまずは下記のリンクから飛んで、試し読みだけでもしてみてください。それでは最後までありがとうございました。